アーティストインタビュー vol.05 おくまゆみ

2022/4/6

フェイバリック参加アーティストVol.05

ペインティング、型抜き、版画。敢えて偶然性を楽しみながら、絵本の世界を中心に表現。ポップでかわいらしい作品が魅力的なアーティスト、おくまゆみ。

 

フェイバリック参加アーティスト おくまゆみ
  おくまゆみ プロフィール 

アーティスト、イラストレーター、絵本作家。
1976年石川県生まれ。グラフィックデザイン事務所勤務を経て、2002年よりアーティストとして活動を始める。

個展、グループ展の他、アーティスト イン レジデンスにて滞在制作発表(メキシコ・三重県)、 その他ワークショップ、公開制作なども行う。絵画、インスタレーション、立体作品、デザイン、ZINEなど制作方法は多岐にわたり、主に物語性のある作品を制作する。

2009AMUSE ARTJAM 2009グランプリ受賞。

2020年個展(東京、亀戸アートセンター)にて初の手製絵本「はこ」を制作する。
 
 
<提供作品>

白い鳥

ライオン

すきなフルーツ
 
おくまゆみさんのアーティストページはこちら
 

絵本に囲まれた原風景
どこまでも心に素直な作品づくり

私が作品づくりで大切にしているのは、自分がいいなとかおもしろいなと思った表現は、最後までおもしろいと思い抜くことです。あまり他人のことを気にしないというか。()

今の自分にとっていい方法だと思ったら、それでやり抜いてみる。どんどん実験するような感じで、どれが自分に合っているのか試してゆく。おもしろいのができたら「あ、これいいな」とか言いながら更新してゆく。ひとつのことにとどまっていられないのでどんどん実験していってしまうんです。

それと、私は実家が本屋さんをやっていたので、本に囲まれているのが好きなんです。絵本も本当に子どもの頃から好きなのですが、最近、絵本ってすごいなって再確認していて。少ないページ数の中で完結していて、すごい媒体だなと。
子どもが生まれてまた読む機会が増えて、昔見た本、読み返して「おぉ、おもしろいな」ってなったり。やはり日常の生活の中に出会いやきっかけがあるので、とにかくいろいろアンテナを張っておいて、あ!今これが気になると思ったらそっちにパッと行っちゃう。

ひとつの作品を根詰めてストイックにやる作家さんもいっぱいいるんですけど、私はそういうタイプではなくて、それはできないんです。()
おもしろいと思ったもの、その心に素直に制作しています。
 

白い鳥、ライオン、すきなフルーツ、

あえて不自由な表現で、偶然との出会いを楽しむ


2020年に、絵本の個展をしたんですね。自作してつくって。
そのときに絵本にすると一番いい絵みたいなものをいろいろ考えて、単純化したり、いろいろ試行錯誤したりする中でたどりついた絵本展だったのですが、その延長線上でできたのがあの3つの絵になります。
 

―ペインティングと型抜きの手法を使われているとのことですが?
 
おくまゆみさん
「型というのは手で普通に画用紙を切って、そこに穴を開けた状態で色を塗っているのですが。あえて自分をちょっと不自由にして制作したいと思ったのがきっかけです。


単純に手で描いてしまうときれいに整えようとしちゃうんです。よく見せようじゃないけど、整えちゃう。そうするとすごくつまらなくなっちゃう。全然わくわくしないんです。それで不自由にやりたいということで、いろいろ試して、型抜きというやり方にたどりつきました。
そうするとちょっとズレたり、曖昧な線やゆるい感じが出てきて、偶然によくなることがあったんです。もともと民藝が好きなんですが、ちょっと隙のある感じとか、ヌケがあるようなそういうものに近づくんです。毎回、実験気分で。()

版画気分で、開けてびっくりみたいなところを楽しんでいました。偶然性があると楽しいですよね。」
 

FAVORRICとの取り組みも、ウキウキする“実験”のひとつでした。
 
―最初にFAVORRICから作品提供のオファーがあったときの印象は?
 
おくまゆみさん
「いや、うれしかったです。プロダクトになることはもとから興味がありましたし。おぉ、そうかいいですよ~、やりますよ~って。()プロダクトになったらどうなるんだろうって、いつもやっている実験の延長線上で、やってみてどうなるか、とにかく楽しみでした。
生活の道具になるってことは本当に興味のあることでしたし、全然知らない誰かの暮らしの中に自然に作品というか“モノ”が存在するっていうのが不思議でもあるし、うれしいですよね。
普通に額に入れて絵として壁に飾られるのもうれしいんですけど、形を変えてインテリアみたいな実用的にも使えるって民藝にもつながります。気に入ってくれて、使ってくれると考えるとうれしいです。
デザインについても元の絵と比べてかなりトリミングされたりしていますが、デザイナーさんが考えてこのモノだったらこういうのがいいんじゃないかとデザインしてくれて、それがすごく効果的だと感じたので、モノに仕上がってゆく過程も楽しい体験でした。」
 


―ご購入された方にメッセージ
「部屋の中においてあるだけで、家に帰ってきてそれがあるとうれしくなったり暮らしが楽しくなったり、気持ちが上がるようなそういう存在にそのモノがなれたらうれしいなと思います。」
 
 
おくまゆみ 作品「白い鳥」
『白い鳥』

紙にアクリル、色紙、型抜きによるコラージュ。
あえて不自由な表現手法を採ることによる
偶然性が生み出すズレ、にじみ、ゆらぎが
写実とは違った生き生きとした表現を生んでいる。
 ※作品『白い鳥』のすべての商品はこちら
 
おくまゆみ 作品「ライオン」
『ライオン』

紙にアクリル、型抜きによるコラージュ。
2本の足ですくっと立つちょっととぼけた
ライオン。表情とポーズ、鮮やかな配色が
見ているだけで楽しい。
 ※作品『ライオン』のすべての商品はこちら
 
おくまゆみ 作品「すきなフルーツ」
『すきなフルーツ』

紙にアクリル、色紙、型抜きによるコラージュ。
りんごとバナナ、作者が本当に好きなフルーツ。
タイトルにも作品にも感情をそのままに素直に
描く作者のスタンスが表れている。
※作品『すきなフルーツ』のすべての商品はこちら  
おくまゆみ フェイバリック商品イメージ

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