Overlap of paintシリーズは絵画の画面上で起こっている絵具の重なりに注目したシリーズです。
私達は完成時に再表層に乗った絵具を見てイメージを受け取りますが、完成まで描き手によって何度も絵具を塗り重ねられる構造も絵画の持っている魅力の一つであると考えています。
肖像画は古来から存在する絵画の最も身近なモチーフです。「顔」を描くにしても一人一人も当然違いますし、また描き手との関係性も少なからず作品に影響する部分が他のモチーフに比べて大きいと感じています。
好きな人を描く時、お世話になった恩人を描く時、宮廷画家が自身の仕える人を描く時、、同じ人間を描くにしても、関係性や対象への思いなどにとても幅のあるモチーフとしての「肖像画」に人が人を描くということの面白さを強く感じています。
対象の方とキャンバスを挟んで向き合うことで、自分自身の存在や絵画感を確認しているのかもしれません。