2022/10/6
フェイバリック参加アーティストVol.15
あたかもそこにある空気感を切り取ったかのような、温もりのある作品が特徴的なフォトグラファー、HIRAOKA SHOKO。
HIRAOKA SHOKO プロフィール
1988年生まれ。
多摩美術大学環境デザイン学科在学中、
ドキュメンタリー映像撮影をきっかけに「記録」に興味を持ち、
独学で写真・映像撮影を始める。
2011年に同大学を卒業後、撮影スタジオなど数社を経て、
写真家上田義彦氏に師事し独立。
存在する全ての現象を被写体に、空間と質量の関係性を
写真・映像表現を通じて捉えている。
<提供作品>
Orange and Blue in October
Human
Wing Accessories
Orchid in a Cafe
※HIRAOKA SHOKOさんのアーティストページはこちら
そのままの距離感で美しい空気を
美しいままに記録するドキュメンタリー
「先日ふと、出産間近の友人の姿を赤ちゃんが生まれる前に撮らなきゃいけない気がして、急遽お家に行ったんです。
これがその時撮影した写真なんですけど。」
「写真を撮ることは、自分の心が動く空間をそのままの状況で、そのままの距離から記録することだと思います。できるだけその空間に介入することはしたくないんです。
例えばこの写真は左側に家具や家電が写っているのを、もっと綺麗な写真にするために片付けたくなる場合もあると思います。
でも自分が綺麗だと思う空間に踏み込んでいじっちゃうと、それはもう自分が感動した空間ではなくなってしまうので、戻った時には、あれ?となってしまう。だからその空間を崩さないように心掛けています。
昔は人物を引き立たせるために無地の背景でシンプルに撮影する、肖像画のような作品にこだわっていたのですが、今は人物を撮る時も空間の一部として撮るようになりました。
撮影する時の状況でしか感じられないその人の存在感みたいなものを写真に残しています。」
自分を信じてカメラを向ける
すると、自分の写真になってくれる
「風景を撮るときも構図をもちろん気にするんですけど、写真のルールとして『良い構図』とされてる構図に引きずられすぎてしまうと、どこかで見たことのあるような写真になってしまうような気がして。
そういう時は自分の視点を信じて被写体にカメラを向けると、ちゃんと自分の写真になってくれる。感動した心に責任を持ち、それを大切にしたいと思っています。」
その場所、その時、その感動が大切
時にはスマホのカメラからも、作品が生まれる
―フェイバリックの提供作品である『Orange and Blue in October』の美しいグラデーションはどのように生まれたのですか?
「あれ、実はスマホで撮ってるんですよ。10月のある日、自分の家に帰っている時にふと空を見たらすごく綺麗なグラデーションができていました。
それまで特に季節ごとの空色の変化を意識していなかったのですが、夏の空とは明らかに色が違っていて、その時初めて『もう秋なんだ』と思ったんですね。
いつも作品はフィルムカメラで撮影しているんですけど、その時はたまたま持っていなくて。でもとにかく撮らなきゃいけないと思ってスマホのカメラで撮影しました。」
写真が、服やインテリアに“似合う”という感覚とは
「ある時、植物のくすんだ赤色の葉っぱを撮っていた時に、日本に昔も今もある、ちょっとスモークがかった絶妙な自然の色はきっと日本人の肌色に似合うんだろうなって感じたことがあって。カーキ色などもそうですね。
もしかすると、曖昧なことも美徳と感じることができる日本人の気質にも、少しくすんだ絶妙な色って似合うのかもしれないですね。
写真だからこそ捉えられる色柄がフェイバリックさんの日常のアイテムになると、日本のシンプルな服や空間と合わせた時により引き立て合えると思いました。
少し前から、写真の色で服を作ってみたいなぁと思っていたのですが、最近エプロンなど服のように身につけられるアイテムもできて、すごいいい商品だなって思っています。男性にも女性にもすごいしっくり来る。
『Orange and Blue in October』もすごく絶妙な色じゃないですか。自然の中にある一瞬の美しい色が、日常に寄り添ってくれるといいなあと思っています。」
「写真は絵を描くのとは違ってゼロから何かを作るのではなく、自分が作ってない既存の美しいものを記録としてそのまま拾い上げることができるのが魅力です。今後、フェイバリックさんと商品を作る時は、記録でありながら商品の柄にもなるものに挑戦したいなと思っています。
次に提供したいと思っているのが、枯れたまま放っておいたガーベラの花びらがパラパラと床に落ちたあとに撮った写真。美しく咲いていた花びらの根本が、先祖を残すために種に変わっていたところに、生命の循環を感じたんです。
それがベッドカバーなどの大きなプロダクトになると今度は、人間が生命の循環に抱かれて寝ることができる。よく眠れそうで素敵だなと。笑
写真だからこそ表現できる自然の美しさや現象を媒介者となり撮影して、それがプロダクトになることで『こんな色柄がこの世にあったんだ』と改めて見つめられるようになる。
写真の力でも、日本の空間を美しくしたいと思っています。
作品名:Orange and Blue in October
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作品名:Human
作品名:Wing Accessories
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作品名:Orchid in a Cafe
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