アーティストインタビューVol.18 並木夏海

2022/12/14

フェイバリック参加アーティストVol.18

                                   

並木夏海プロフィール 

東京都出身

多摩美術大学絵画学科日本画専攻卒業

ブロックや植物など反復する形を持つものの景色をよく描きます。

 

<提供作品>

はっぱ

ラス

ivy

地面ブロック

 

※並木夏海さんのアーティストページはこちら

 

丁寧に、描くことと向き合い、

正直に、描きたい気持ちと向き合う

―作品には岩絵具という日本画の絵具を使われていますが、通常の絵具と比べて手間のかかるものなんでしょうか?

 

「岩絵具については、使うときに膠(にかわ)を水で戻しておかないと使えなかったりとか、陶砂(どうさ)引いておかないと紙ににじんでしまうとか、前もってやっておかなきゃいけないことが結構ある素材です。」

 

―制作では“丁寧さ”を心がけているというのもそれに関係ありますか?

 

「そうですね。基本的にかなり面倒くさがりなのでつまらないことを続けられないのと、雑に描くとやり直すことが増えるのでなるべく丁寧に作るようにしています。そう心掛けてないとすぐ雑になっちゃうんです。」

 

―描いていて楽しいことを大切にされているそうですが、楽しいという感覚はどのようなものですか?

 

「何か良くなりそうだな、とか、いい感じになりそうだな、っていう時が一番楽しい。8割ぐらいできてきちゃうと、もう次のやつやりたいなってなっちゃう。

予感とか確信がある時が描いていて楽しいですね。

フェイバリックや自分の個展に出すような私の日本画の作品って描くのにすごく時間がかかるんですよ。だから、同じ熱量を維持することってかなり難しい。だからこそ、描いていて楽しいという気持ちを大切にしています。」

 

反復のリズムが好き

でもそれは決して特別な感覚でもない

 

―反復のモチーフが多いですが、そういったモチーフを選ばれる理由は?

 

「最初にきっかけになったのは卒業制作で描いた消波ブロックだったんです。そこから始まっていて。もともと昔の日本画とか襖絵とか琳派とかも、型紙の繰り返しを多用していて、それが好きだったんですね。

『何回もやっていいんだ!ハンコみたいになっていても格好いいんだ!』っていう気づきがあって。で、その時いいなと思った消波ブロックをモチーフにして描いたというのがきっかけで。」

 

―パターンも単純な繰り返しではないゆれを感じます。

 

「絵画ってなるべく長時間、視線をそこに留まらせる意図で設計されていると思うんですけど、そういう意味で絵の中にリズムがあった方がいいかなと思ってやっています。

一回見てわかる部分と、よく見ないとわからない部分っていうのを両方作ることで、鑑賞時間というか、見てもらえる時間を長くできるのかなと思いまして。」

 

―モチーフは街を歩いているときに目につくものですか?

 

「『なんかいいな』っていう直感的なものなんですが、これって絵っぽいなと感じることがあるんです。

大学生のときに赤瀬川源平さんの路上観察の本も読んでいて、そういう目線で散歩したりしていたので感覚が蓄積しているのかもしれません。」

「でも、そういう路上観察とか、ネットで調べてみると意外と好きな人がいるんですよ。

消波ブロックだけ写真撮ってあげているブログがあったりとか、塀のブロックの写真だけを集めている人がいたりとか。

実は好きな方々が結構いるんですね。それ自体、すごく特別な感覚ではないのかなと思います。」

 

 

 

海外から戻ってきた時に感じた、

日本だけの“青”。その“青”で世界を描きたい

 

―ほとんどの作品を青系で描かれていますが、青には何か思い入れがあるのでしょうか?

 

「青は、もともと好きだったんです…はじめて海外旅行へ行ったのがイタリアだったんですけど、景色の色が結構黄色っぽいなっていう感覚があって。

飛行機に乗っている時に外を見ていても、中国ぐらいまでは景色が青っぽいんですよ。でもイタリアとかヨーロッパって結構黄色っぽいなっていう、植物の色も。それにすごく驚いたんですよね。

何ですかね、緯度の関係なのか、日本で言うと冬の3時ぐらいの日光の色って言うか。で、戻ってきたら日本ってめっちゃ青いんですよ。どっちかというと、緑よりも紫寄りの青ですよね。

結構びっくりして。青はもともと好きだったんですけど、景色を描くんだったら青っていうのは、そのときの印象が大きかったのかなとは思います。」

 

―色合いなのか、パターンなのか陶器にも印象が似ています。

 

「そうですね、磁器とか陶器とかも見るのは好きです。

あと素材的にも、使っている岩絵具の顔料は、呉須(ごす)という釉薬(ゆうやく)にも使われている色と一緒なので、印象が近いのはそういう理由だと思います。」

 

フェイバリックアイテムになって、

はじめて見る岩絵具の粒子感の新鮮

 

―ご自身の作品がフェイバリックアイテムになって、はじめて見たときの感想は?

 

「岩絵具って粒子の粗さによって番号があるのですが、私が使っている線の部分の絵具ってかなり粗い番号なんです。線の部分は濃い色なので粒子が荒い。

フェイバリックで布にプリントされたものって実際の作品よりも大きいんですね。ちょっと拡大した状態でプリントされていて。

そこで、絵具のツブツブが画像として拡大された状態のままで、ちゃんと印刷されていることに驚きました。

ツブツブの表情まで拡大されて再現されちゃうんだって。細かいところまですごく再現されいて、それはちょっと面白かった。」

 

―何かこれからつくってみたいものはありますか?

 

「ひざ掛けみたいな、ニットブランケットですかね。

植物とか直線じゃないものをプリントした時に線がカクカクしているのが面白かったので、そういう植物のパターンのものとかを描いた時にやってみたいなと。

ただその植物が全然うまく描けないっていう悩みがずっとあるので、困ったなって感じですけど。(笑)」

 

―今後、ご自身の制作活動でやってみたいことなどは?

 

「もうちょっと構図のバリエーションを出すために、CGを使って構図のバリエーションをつくったりとか、3Dも使えるようになりたいっていうのが一つ。

あと陶芸をもうちょっとやりたい。あと、スケッチもほとんどしなくなっちゃって、昔に比べて描くスピードと精度が下がっているので、もっと描かなきゃなっていうのがあります。

デッサン的な筋力が描かないとどんどん衰えるので。やりたいなと思っているのですが、やはり体力が落ちているので、運動もしなきゃいけないなとか。

まずは体力。すごい肩痛いとかあるんです、最近。やっぱリ結局体力なんだなと最近思っています。(笑)」

 

 

 

 作品名:はっぱ

「新宿御苑で見た葉っぱ」

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作品名:ラス

「金属をのばしたやつ」

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作品名:ivy

「塀を覆う強い葉っぱ」

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作品名:地面ブロック

「駐車場とか外でよく見かける形」

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