アーティストインタビュー vol.01 前田裕
2022/1/12
フェイバリック参加アーティストvol.01
世界全体の構造からインスピレーション受け、独自の世界観をアートで表現する前田裕。
Photo by Ashley Guo
よくわからないものを曖昧なまま表現する
よくわからないものや特定できないものを曖昧なまま、僕の場合はペインティングですがその過程を残してつくりたいなと思っています。
端的に言えば変なものをつくりたいということなんですが。私の場合、自然のモチーフを、抽象的な形だったりシンプルな図形に切り取って、さらに再構築していって組み上げて何かのイメージをつくってゆく。 なんとなく顔に見えたり、違うものに見えたり、いろんなものに見えたり、見る人によって違う独自なものをつくりたいと思っています。
生き物の営みを図形に分解し、再構築したい
―このような作風に至った経緯やきっかけなどあれば教えてください。
自分が影響受けたのは幾何学だったり、図だったり、マヤとかアステカの古代文明にも興味があります。あとは曼荼羅(まんだら)という仏教美術ですね、影響を受けていると思います。 あとは宗教にも興味があって、人の営みとしての宗教ですね。古代アートみたいなものも祭壇や宗教的儀式に使われているものなので、通じるところがあると思います。
もう一つは生態学的なもの。たとえば木の構造と肺の構造って似ているとか、そういったアナロジーは数学的に分解できる部分も多くて、生命が生み出される過程のようなものを図形や自分の中で再構築して、絵にして行けるといいなと思っています。
細胞、分裂、シンボリズムの『Pattern』
モチーフとなっているのは細胞や分裂といったものなんですが、丸いものが生命で、人間がつくったものは直線だと思うのですが、それをシンメトリーなシンボリズムで描いています。 家に見えたり、顔に見えたり、人によっていろんなものに見えるといいなと思って描いています。
西洋的なものと東洋的なものを組み合わせた『Big Daddy』
数年前から去年までアメリカで活動していたのですが、ローブローカルチャーの代表格にエド・ビッグダディ・ロスという人がいまして、この作品はアメリカから帰国する直前につくったのですが、来るきっかけとなったその名前をつけました。 西洋的なカスタムカルチャーの絵と東洋的なものを組み合わせてつくりました。
中が外で、外が中になる循環で世界を描いた『Untitled』
中心に動物と人間がいて、その周りに草、鳥、虫、木、太陽、月というものを配して、世界のつながりというか循環してゆくものを、入子状にして表現しています。 中があって外になって、その外が中になって見え方が次々と変わる。
鳥であり、木であり、顔であり、パターンでもある『Birds and Trees』
木の顔の部分は鳥の羽になっていて、そこに小さな木が生えていて口に見える。生き物が重なり合って別の生き物になるような。 これは今、この見え方ですけれども、たとえばもっと引けばこのパターンがずっとつながっていくイメージも成り立ちます。
はじまりと終わり、あうんの呼吸を示す『Humans』
男の人と女の人なのですが、表情が「あ、うん」の呼吸になっていまして、頭の方の顔と体の方の顔が重なり合っています。 色味はミニマルに3色か4色に絞っているのですがグラデーションだったりレイアウトだってりで調和させるようにしています。
品質がよいものをつくりたいという思いに共感しました
―最初にFAVORRICから作品提供のオファーがあったときの印象は?
とにかく品質がよいものをつくりたいという熱意が伝わってきまして、すごく面白いなと思いました。他のプリントオンデマンドみたいなサービスだと品質にあまり気をつかっていないところが多い印象がありまして、そういったところは私も躊躇するんですが、モノとしてよく仕上がりそうだなと言う期待感がありました。
織物とか印刷にももともと興味がありまして、中東の織物なんかもすごく好きですし、自分のアートがそういう媒体に載せられるというのって楽しみですし、自分でそれ用につくりたいなとか思ってしまいます。
―ご購入された方にメッセージ
ありがとうございます!
前田裕プロフィール
1984年熊本県生まれ。
京都精華大学デザイン学科卒業。
フリーランスとしてCM,MVなどの広告アニメーションを制作。
2013年南カリフォルニアに移住し絵描きとしての活動を始める。
アメリカ国内をはじめイギリス、スペイン、オーストラリア、メキシコなどのグループ展に参加する。
Hi-Fructose,Juxtapoz magazineなどのアート雑誌に記事が掲載される。
2019年LAのSuperchiefGalleyにて初の個展を開催。
2020年帰国し拠点を日本に移す。
2021年NYのSupechief gallery、台湾のFOMO galleryにて個展を開催。
Desert Daze, Animal Collective, Guerilla Toss, Monster Catなどにアートワークを提供。
<提供作品>
『Pattern』
生命の丸と人間のつくった直線をベースに
さまざまなモチーフをシンボリズムで再構築。
それらを組み合わせることで生まれたパターン。
『Big Daddy』
東洋的なものと西洋的なものの邂逅。
自身がアメリカに渡るきっかけとなった
Big Daddyの名を冠して。
『Untitled』
中が外で、外が中になってゆく。
人、動物、草、虫、太陽、月。
さまざまなモチーフを再構築し、
自然界の循環を描いた。
『Brids and Trees』
木でもあり、鳥でもあり、人の顔
でもあり永遠につづくパターンでもある。
大きな目線と小さな目線での
発見の違いが楽しい。
※作品『Brids and Trees』のすべての商品はこちらから
『Humans』
はじまりのあ、終わりのうん。
東洋的なはじまりと終わりを表現した
男性と女性、あなたとわたし。