アーティストインタビュー

アーティストインタビュー vol.02 Namiko Kitaura

2022/3/11

フェイバリック参加アーティストVol.02

見る人の奥底にある記憶や感情を揺さぶらせる作品が特徴的なフォトグラファー、Namiko Kitaura。

Namiko Kitauraプロフィール

University of the Arts Londonを卒業後、ベネトン社主宰のアーティスト・イン・レジデンスFABRICAで日本人初の写真家としてスポンサーを受け経験を積み、ヨーロッパ各地で活動。
植物や風景、人の肌など、アノニマスな被写体を通してアブストラクト、そしてシンボリックに、人のDNAレベルでの記憶や命の儚さや美しさをテーマに、日本人特有の自然観を生かした作品を発表。
外側にある事物を通して内面の感情や美を表す、ある種、借景の思考や俳句表現のような日本古来の表現手法を用いて、自身の体の奥底に眠っている感情を作品に内包させる。
また、作家として社会に潜む様々な問題と向き合い、その裏にある言葉にならない感覚や感情を独自の撮影手法にて視覚化し、国境を超えたビジュアルコミュニケーションを目指す。

＜提供作品＞
Fragment II - series ʻHydrangeaʼ
Regeneration I - series ʻStillsʼ
Dreamscape - series ʻThe Ephemeral IIIʼ

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ひとりひとりの普遍的な記憶を呼び起こす

心象風景のような写真を

ポートレイトや、人の肌、風景、植物など、一つに限らない被写体を通した表現であっても、国境、ジェンダー、年齢など様々な境界を超えた多くの方々の普遍的な記憶を呼び起こす、心象風景のようなイメージを届けていきたいと思っています。

私自身、もともとは油絵を勉強するために渡英し、そこから表現方法を写真にシフトしていきました。その影響もあってか、リアリティーをそのまま撮るというよりは、抽象的なアプローチを用いて作品制作をしています。イメージとしては、紙に言葉がパラパラと散らされているような、または、断片的な記憶がふと頭に浮かぶような感覚です。

−発想やインスピレーションを得るために気にしていることはありますか？

kitauraさん
「日常生活から作品制作に入る過程へのマインドセットの切り替えを大切にしています。音楽やアロマなどで気分を切り替えて、集中できる様にしています。」

Fragment II - series ʻHydrangeaʼ

自然と朽ちてゆくプロセスに興味があり、時のコンセプトを感じられるような、儚い美しさを表現しました。

Regeneration I - series ʻStillsʼ

普段なら捨てられてしまう、満開を過ぎて朽ち果ててゆくお花に、もう一度命を吹き込むとったコンセプトの元、製作をしました。

Dreamscape - series ʻThe Ephemeral IIIʼ

色即是空の「空」をテーマに、無常のつらなりを表現しようと思いできあがった作品です。

―最初にFAVORRICから作品提供のオファーがあったときの印象は？

kitauraさん

「このコラボレーションによって、自分の更なる可能性も広がると感じますし、オーディエンスの皆さまにも、もっと手軽に日常へアートを取り入れて行って頂けると強く感じました。」

「また、アート作品自体を購入しようと思うとかなり高額になってしまうのと、日本の住宅事情を考えるとなかなか壁に釘を打って写真を飾っていただくことが難しいため買いたいと思ってもらっても買えない方も多いのではと感じています。地震も多いので海外のように棚に立てかけておくのも危ないという点もあるかと思います。」

「今回のプロジェクトにて、作品購入よりも気軽に、私の作品を日々の生活に取り入れて頂き、豊かな時を過ごして頂ければ嬉しいです。」

―ご購入された方にメッセージ

写真は、画像も動かないですし、無音のゆったりとした表現方法です。「時間とはどういったものなのか」ということが作品のテーマの１つにありますが、私の作品を観て頂くことが、情報過多な社会のなか、立ち止まって思いを馳せたり、自分と向き合ったり、リセットしたりするゆったりした時間を過ごすといった機会に繋がっていくと嬉しいです。

『Fragment II - series ʻHydrangeaʼ』