アーティストインタビュー vol.06 名雪晶子

2022/4/7

フェイバリック参加アーティストVol.06

人間の目では捉えられない事象に興味を持ち、幻想的な作品が魅力なフォトグラファー、名雪晶子。

 

 
名雪晶子プロフィール

1992年神奈川県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。
音楽や美術に親しんで育つ。

幼い頃から抱いていた水の流れへの興味を昇華させようと作品を作り続けている。

水や煙、ミクロの世界など人間の目では追いきれない世界を写している。
2021年、自身初の写真集「コン・アニマ」を羽鳥書店より出版。
同年4月に富士フイルムフォトサロン東京にて初個展を開催。
 
 
<提供作品>
hazy
microscope A
microscope B
 
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被写体と遊ぶように、
肉眼では見られない一瞬を切り取る

こういう写真を撮ろうと頭の中に明確なイメージを浮かべるのではなく、被写体と遊びながら、自然に見える形を写したいと思っています。
作り込もうとせず、そのままの姿を写真に残す。その楽しみは写真作品をつくる上での原動力にもなっています。なので多少の撮影環境作りはするのですが、ほとんど自然任せの現象を撮っています。そのやり方が今の私にはあっているかなと。
 

見ようとしなければ見えないものを、見たい

hazyという作品はドライアイスの煙を撮っているのですが、「見えそうで見えないもの」というテーマになっています。

さっきまで見えていたものが、急に靄(もや)に包まれて見えなくなる。日常生活の中でも起こることだと思うのですが、さっきまで見えていたものが見えなくなったり、逆に見えなかったものが急に見えてきたりという現象が面白くて。そういう不安定な世界を表現したいと思った作品です。
 
microscopeという作品は氷の中の気泡を撮っています。

肉眼では絶対に見えないものというのがテーマで。小さくて見えなくてもそこに宇宙が広がっていると感じます。
今回の作品は氷越しに花を置いて撮影しました。氷が溶けてゆくことによって気泡が動いたりするのですが、そういった表情の変化を後ろの陰影を生かしつつ撮っています。
太陽の光が強い時に撮っているので、一瞬で溶けてしまいます。全体が溶けて、透明度が増す。すると後ろの世界がよく溶け込んでゆく。その過程も魅力的です。

「見ようとしなければ見えないものを見る」、というのがhazymicroscope共通のテーマになっています。
 
私の写真の特徴は奥行きと陰影。
だから、立体のモノになるのに向いていると思います。
 

―最初にFAVORRICから作品提供のオファーがあったときの印象は?
 
名雪さん
「もともと私も自分の作品をカーテンやスカーフ、服など、布製品にしたいという願望は持っていました。誰かの暮らしの中に彩りが添えられて、少しでもカラフルになったら楽しくなると思います。

それを持ってくださるというのは、それが好きで選んでくださるわけで、そういう方たちの毎日に存在してゆけるのは貴重なことですし、非常に光栄です。 私の作品はプリント作品で見せる以外にも、形を変えて自由な表現をすることでたくさんの人に届けばうれしいと思っていますし、またそこから新たな可能性が生まれるのではと思い挑戦させていただきました。……私も欲しいです。」
 

-実際に自分の作品が布製品になった印象は?
 
名雪さん

「やはり写真作品を生地へ、というのは難しいようでご苦労が伝わってきたのですが、hazyのティータオルなんかは、そこにそのものが存在していて実際に手を触れられそうな風にできあがっていたのですごく素敵でした。microscopeの方ももともと抽象的ですが、生地に染め込むことによって抽象性が増して、実は写真作品だという背景も含めておもしろいと思いましたし、全体の完成度が高い。生地なので常に揺らめきます。その影も含めて写真作品に立体感が増して一体感が生まれていました。」
 
 
-今後、FAVORRICに期待することは?
 
名雪さん
「こういった取り組みを通じてアートが生活、暮らしの中に溶け込んでゆくものが増えていったらいいなと思いますし、FAVORRIC経由でアート自体に興味をもっていただいたり、アーティスト側も含め新しいアイデアが生まれたりという、そういうことにつながっていけたらいいなと思っています。」
 
 
―ご購入された方にメッセージ

「数ある魅力的な作品の中から私の作品を選んでいただき、ありがとうございます。
何気ない毎日に、お気に入りのものに触れて、わずかでも心が躍ればうれしく思います。なかなか出歩けない今、家にいるときこそ幸せな瞬間や笑顔が増えたり元気になったり、そういうことを願っています。」
 
 

hazy

ドライアイスの煙がゆらめく中に、葉っぱ。森林を漂う霧を思わせる世界。ふっと現れたり、ぱっと消えたり。幻想的な一瞬を切り取った作品。
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microscope A

背景に花、氷の輪郭を撮影。溶けることで刻々と表情が移ろう中で、氷に纏う水分が半月のように輝く幻想的なミクロの世界。
  ※作品microscope Aのすべての商品はこちら

 

microscope B

背景に花、氷の気泡を撮影。氷が溶け始める前のソリッドな傷、向こう側で溶けだす色彩。移りゆく一瞬を捉えた作品。
  ※作品microscope Bのすべての商品はこちら


 

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