アーティストインタビュー vol.07 Jun Yasui
2022/4/8
フェイバリック参加アーティストVol.07
人と自然の繋がり方、時代感をみつめながら、細部まで意思の通った力強い作品が魅力的なフォトグラファー、Jun Yasui。
Jun Yasuiプロフィール
1984年 生まれ2010年 渡英
2012年 イイノメディアプロにてスタジオマン勤務
2014年 渡仏、フリーのフォトグラファーとして活動
2018年 パリにて初の個展「Immigrants」を開催
2018年 帰国、eight peaceに所属、現在に至る
<提供作品>
THAT ARE 2019_1
THAT ARE 2019_2
Resource 2017
Device 2017
Snow mountain pt1 2017
今の時代感と、時を経ても残るもの、両方を見つめる
普段から時代感や世の中の情勢というものは感覚的に取り入れるようにしています。それを写真に表現したいというのがポイントの一つです。同時に、いろんな時代、価値観がありますので一つのものに正解があるとは限らない。なるべく多角的にアイデアを考えたい。その上で、歴史を見た時に今の時代も残っているものは色々な意味での質や意味合いの高いものだと思います。
写真の技術も含めて、新しいことをスピーディにやるのも大切だと思うのですが、もともとの写真の歴史とか培われてきた技術的な面とか、そういったところも意識して、細部まで意思の通った作品を作っていきたいと考えています。
極北の孤島アイスランド、
未来にも連なる人類のグレートジャーニーの記憶
『immigrants』は、アイデアと行動がほぼ一致して出来上がった作品でした。
アイスランドという土地はもともと興味があって、どこか地球じゃない場所に行きたいなと思っていて。火星探査や地球外への移動とか、そういう技術も発展してきて、グローバリズムも進んで地球内での人の移動も活発になってきて、そんなときにちょうどパリでテロ事件があって、海外で暮らすのがしんどくなって母国に帰る人もたくさん出てきた。
移民、宗教観、文化いろいろなものが絡み合って複雑な問題となっていて、そんな中アイスランドに行ったわけですが、人が土地に根付くというのはどういうことなんだろう?という点にすごく興味がありました。
人はどうして移動するのだろう?ふるさとに育ってその場所で一生を終えるのは一個の幸せの形ではある。だけどみんな旅をしたいし、いろんなところに行きたがる。
アイスランドも人が移住して出来た国なので、「人が移動して暮らしの土台をつくるってどういうことなんだろう?」という問いを抱えて行きました。
アイスランドは一度経済破綻した国なのですが、地熱をつかって発電して、その電力をつかった産業の誘致や、最近ではサーバセンターを大量につくって産業として成功している。自然と付き合いながら、立ち直った国の一個のいい例だなと思いました。
これからの時代、原発の問題もありますし、エネルギーの問題、資本主義社会での生き残るために学べるものはたくさんあるなと感じました。
写真には問いかける力が強い
写真というのは、そこに存在しているものしか撮ることができない。
見た人の読み取り方も多種多様で、単純に綺麗だとか、美しいということもありますし、コンセプトがどうこうだって解釈される方もいる。言葉で80億人の人全員と話せればいいですけど、それは無理なので、コンセプトの言葉がひとつだけあって、あとは写真を見て、いろんなことを感じ、いろんなことを考える。
そういうことをするには写真はかなり強いツールだと感じています。
たとえば映像とかだともう少し解釈を限定してくる。写真はここにきて新鮮に感じるのはその問いかける力が強いからじゃないかと思っています。
―最初にFAVORRICから作品提供のオファーがあったときの印象は?
Jun Yasuiさん
「ふつうに面白いなと思いました。人に何か伝えたいという思いはあるので、なるべく多くの人に見てもらいたいという意味ではいい取り組みだなと思いました。写真に関しても、すごく自然に壁に立てかけて欲しいと思っています。なので、日常の中で自然にあるものとして、溶け込んでいってもらうことが理想だと考えています。」
-実際に自分の作品が生地製品になった印象は?
Jun Yasuiさん
「最初サンプルを拝見したときは、もやの感じとか煙の感じの表現が難しいと思ったのですが、生地の方やデザイナーの方がいろいろ試行錯誤してくれて、最終的にはかなり満足するクオリティになりました。もちろん写真とは違うのですが、ファブリックに写真がデザインとして乗っかるものとして、写真とは違う見方として面白いなと思いました。」
-今後、FAVORRICに期待することは?
Jun Yasuiさん
「とにかくいろんな人に知ってもらいたいですね。それを元に、寝具を買ってくれた人が写真集や展示に興味を持ってくれたり、文化的な交流が深まるとうれしいなと思いますし、そういう機会があったら私もぜひ協力したいと思います。」
―ご購入された方にメッセージ
「これによって生活が豊かになるとうれしいと思いますし、これをきっかけに何か新しい目線とか持ってもらえることがあればうれしいです。」
『THAT ARE 2019_1』
濛々と地熱を発する北海道の大地。
アイスランドとの相似性。
自然の力と共生する未来像を
感じられる場所。
※作品『THAT ARE 2019_1』のすべての商品はこちら
『THAT ARE 2019_2』
濛々と地熱を発する北海道の大地。
アイスランドとの相似性。
自然の力と共生する未来像を
感じられる場所。
※作品『THAT ARE 2019_2』のすべての商品はこちら
『Resource 2017』
グツグツと沸き立つ泉源。
エネルギーの源、HUB。
ここから地球の力が各地域に
分けられてゆく。
『Device 2017』
かなり赤茶けているが
確かに稼働しているデバイス。
ディストピアに連なるイメージでもあり、
同時に鼓動する力強さも感じる。
『Snow mountain pt1 2017』
極北の孤島の標高1,500m。
別の惑星にたどり着いたかのような
錯覚を起こさせる。
何人をも寄せつけない世界。
※作品『Snow mountain pt1 2017』のすべての商品はこちら