アーティストインタビューVol.17 れのすか
フェイバリック参加アーティストVol.17
2022/12/2
れのすか プロフィール
群馬県生まれ、東京都在住。
専門学校でグラフィックデザインを学んだ後、2019年よりイラストレーターとして活動中。
水彩絵の具で、モノ・文字・動物などをモチーフに、書籍や雑誌のイラストレーションを制作。
シンプルな線とゆるい塗りが特徴。
<提供作品>
NOWORRIES
これから
Spend with you
青いシャツ
手に取った絵の具とスケッチブック
子育ての隙間で再確認した純粋な描く喜び
―もともとはシステムエンジニアだったとお聞きしています。
「大学まではあんまりやりたいこともなくて。とりあえず進学していて、その大学の学部からシステムエンジンエンジニアになる人が多かったので。
周りの影響もあってなってみたんですけど。色々理由あって4、5年経って見つめ直して。それでグラフィックデザインの専門学校に入ったんです。
その時は授業でドローイングとかはあったんですけど、パッケージデザインとかポスターなどデザイン系が主でしたね。」
―本格的に絵を描かれるようになったのはお子さんができてから?
「そうですね。一人で夜こっそり描いたりして。まず家にあるもので描いてみたいなと思って、子ども用の絵の具をつかって描いていました。」
「そうですね。ある意味、なんだろう“逃避”というか、逃れるために描いているっていうのは大きいです。(笑)
私は描けたらもう、描けた時点でOKみたいな感じなので、それを人に見てもらうのはすごい緊張。
もう描けただけでいいのに、みなさんに見てもらって、フェイバリックさんにも作品にしてもらってすごい感謝です。」
「本当に子供がちっちゃい時にはあまり外の人と会話することもなかったので。
何だろう。
なにげなくですね、SNSにぽってあげて今に至るというか、ちょっと人と繋がりたかったのかもしれないですね。
マイペースに絵を描いていけたらなと思いますね。」
―今も子ども用の絵の具で?
「そうなんですよね。これぐらいの。紙もふつうのスケッチブックで。ムラ感とかもこのスケッチブックです。」
暮らしと工夫の先に美しさがある
花森安治の言葉に導かれた工夫の先に
―影響を受けた人物として『暮らしの手帖』の初代編集長花森安治さんを挙げていますが?
「『美しいものは、いつの世でもお金やヒマとは関係がない。みがかれた感覚とまいにち暮らしへのしっかりとした眼と、そして、絶えず努力する手だけが、一番美しいものを、いつも作り上げる』という言葉があって、
特別なことがなくても、何か自分の工夫で美しいものを見つけられるんじゃないかなみたいな。”工夫”という言葉で表している感覚が好きですね。」
―使っているものの身近さが絵に現れているのかもしれません。
「そうかもしれませんね。ひと通り描きたいものとかやりたいことをやったら、いい絵の具とかいい紙とかの研究とかもしていきたいんですけど、
そのひと通りにまだ全然追いついてない気がしているので、あともう少しこの感じを続けてみようかとは思っています。」
理想は、落書きのようなリラックス感
できるだけ自然体で、できるだけパーソナルに
―なにげないモチーフである『青いシャツ』も、本当に強い存在感を発揮しています。
「あれは…単純にチェック柄みたいなのが好きなんです。シャツも好き。
電車の中の落書きでシャツを描いていて。
一人になれる時間が、結構電車の中ぐらいだったりするので、ノートをいつも持ち歩いて描いたりしているんです。」
「本当に作品に残そうとか思っていなくて。描こう描こうと思って描くと、パキパキってなっちゃうので。
それをなくしたいなとは思いつつ、本当にリラックスしてないと出ないかもしれない。
展示用に描こうとか思って描くと、やっぱりホントの落描きの延長のリラックス感なものとは、自分から見るとやっぱ違うなって思いますね。
理想としては、落書きのリラックス感に近づけたいというのはあります。」
「緊張感を感じるかな、展示用とかは。
若干人に見てもらうために描いているな、狙って描いている感じが出ちゃうので。
『本当に自分だけの想いで描きたいって思って描いた絵』というのが描けたらいいなとは思っています。」
自分に、大切な人に
パーソナルなメッセージだからこそ、
多くの人が共感する
―花のない花瓶というのも面白いモチーフだなと思いました。モチーフに込められた意図はどのようなものでしょうか?
「花瓶は花がないと輝けないというわけではないかな、とちょっと思って。
本当は、自分を励ますために描いたっていうのが大きいんですけど。
『常に輝いていなくても大丈夫だよ』みたいな。自分に向けたメッセージですね。」
―『Spend with you』はクルマを描いていますが背景がとても独特の色をしていると思います。
「そもそも道路っていう意識がなくて、完全にサーモンピンクという色が好きというのがあって、あの色になったと思います。」
―窓の表現もすごく独特ですよね。
「縦のシマシマと横のシマシマ。おんなじように見えてやっぱ違うみたいなところがしたくて。
これも自分のことに結びつけてなんですけど、私と旦那の考え方が全然違くて。
好きなものも趣味も全然違うけど、一緒にいるみたいなところからきてますね。違うけど大丈夫だよって。(笑)」
生活から生まれ、生活の道具に生まれ変わる絵画
―フェイバリックとの取り組みについての最初の印象は?
「私の場合、生活の中から絵が生まれているので、またその生活の中に戻るっていうのがすごく嬉しい。
自分では全体で自分の作品としか見てなかったので、その一部がレイアウトされても、『あ、自分の作品って分かるんだな』と思って。
形が変わってもその作品って分かるのはすごく新鮮でした。」
―今後、フェイバリックでつくってみたいものなどはありますか?
「逆に何だろう。そのものに合わせて描いてみたいですね。
エプロンがすごい可愛いなと思って、エプロンにするためには今提供している絵じゃダメだなと思って。もっと使いやすいように描いてみたいなと思います。」
作品名:NOWORRIES
「今日はお花がなくても大丈夫。毎日めいいっぱい気を張らなくても大丈夫。
自分に言い聞かせるように描きました。」
作品名:これから
「重なることと重ならないこと、日々いろんなことがあるけれど。
全てはこれからだ、という清々しい気持ちになれるように描きました。」
作品名:Spend with you
「好きなものが違っても見ているところが違っても、どこか似ているところがある。
一緒に過ごしたいと思う人を大事にしようと思って描きました。」
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作品名:青いシャツ
「なんてことないシャツを描きました。
ありのままでいること、これが意外と難しいんですよね。」