Noumena#12
「Gray : Noumena」にはCMYによって作り出された混色状態の灰色の色面に、ディスプレイ表示における理論値であり本来は吸収されているはずのRGB輝度値が表示されている。私がこの灰色の色面を作り出す際には垂直、水平にCMYの色材を引き伸ばして混色している。
また、水平垂直はモニターの画面表示構造であるピクセルに基づいており、液晶破損時に起こる線的な画面の壊れ(グリッチ)に似た表面を作り出すことができる。
その上にある数値は256色x3の組み合わせによるところの中間に値する数値をランダムに生成した灰色のイデアなのである。
"Noumena"は"Noumenon"の複数形だが、"Noumenon"には考えられたもの、あるいは仮想物という意味がある。
「Gray : Noumena」では偶発的に混ざり合った色材的灰色とランダム生成された仮想物としての光学的灰色が混成された画面を作り出すことを目的としている。
光を受ける支持体(灰色)があり、光そのものを示す数値(灰色)がその上に表示されている。その絵画は光の認識不可能性を再提示する媒体となりうるのではないだろうか。