FAVORRIC編集者
2024-04-26
版画の魅力と種類を徹底解説!絵画との違いや「本物」の定義まで
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みなさんも「版画」という絵画の技法は、おそらく美術の授業で聞いたことがあるでしょう。
実際に版木を彫って、木版画を作成した人もいるかもしれません。
しかし、版画にもいくつか種類があることはご存知ですか?
この記事では「版画と絵画の違い」「版画の種類」をご紹介します。
版画とは何かを知ることで、より魅力を感じながら鑑賞ができるようになります。
ぜひ、版画の魅力に触れてみてください。
目次
- 版画とは?
- 版画の種類
- 版画の種類や特徴を知ることでより楽しく鑑賞を
版画とは?
版画とは、木や金属、石板などを彫ったり薬品処理を施したりすることで、版と呼ばれるベースを作成し、複数の印刷物を制作する技法です。
油絵や水彩画などの一点物よりも一般的に価格が安い傾向があります。
版画と絵画の違い
「版画」と「絵画」の定義は以下の通りです。
- 版画・・・木や金属、石に彫刻や細工を施した「版」を使用し、複数刷ることを前提として制作された印刷物のこと。
キャンバスなどに作者が直接描くのではなく、版を介することから「間接技法」とも呼ばれます。 - 絵画・・・キャンバスや壁などに絵具やペンを用いて直接図形や風景を描く表現方法で、「直接技法」とも呼ばれます。
しかし、「絵画」を厳密に定義することは難しく、平面上に表現されたものがすべて含まれます。
今、あなたが手元にある紙とペンで描いたものも「絵画」ということです。
絵を描く道具も特に決まりはありません。絵の具、ペン、スプレー、切り絵、すべて平面上に表現されているので「絵画」になります。
つまり、版を用いて平面上に図形や風景などを描いた「版画」も、「絵画」の一部なのです。
版画における「本物」とは?
「版画」は、版を製作すればいくつも同じ作品を作ることができる印刷物であると説明しました。
では、複製が前提の版画にはそもそも「本物」という概念はあるのでしょうか?
「本物」とされるものの定義を解説します。
まず、版画はひとつの版で同じ作品を複数作れるため、作成前に制作数が決められます。
同じ作品をいくつも作れるとはいえ、「数量限定」ということです。
刷られた絵には決められた数の中で何枚目の作品かを明確にするため、「エディションナンバー(シリアルナンバー)」と呼ばれる数字が記載されます。
限定100枚のうち55枚目であれば、作品左下の余白に【55/100】という数字が記されるのです。
つまり、エディションナンバーが記されたものすべてが「本物」であり、決められた制作数だけ本物が存在します。
制作数を決める理由は以下の2点です。
- 希少価値を保つため
- 何度も刷る中で版がダメージを受け、作家が求めるクオリティを維持できないため
本来であれば決められた制作数を刷り終わった版は廃棄されますが、稀にそのまま残っているものもあるようです。
たとえ「本物」と同じ版を利用して追加で作品を刷っても、エディションナンバー以外のものは「本物」とは呼びません。
※エディションナンバーは1930年代以降の作品から普及したため、それ以前の作品には当てはまらない可能性があります。
版画の贋作問題
近年、コピー技術は大きな成長を遂げています。
それに伴い、芸術作品の贋作も増えているのです。
実際に存在しない作品があたかも「本物」のようにオークションに出品されたり、カラーコピーが出回っていたりと悪行が後を絶ちません。
「本物」の証であるエディションナンバーも、精密なコピーによって描かれている可能性もあります。
しかし、美術館・博物館に収蔵されている作品は複数の鑑定士によって「本物」であると認められたものなので、安心して作品を楽しんでくださいね。
基礎から学ぶ!水彩画から油絵まで、絵画の技法と種類について解説します
版画の種類
版画というと、「木版画」をイメージする人が多いかもしれません。
学生時代に美術の授業で「木版画」を制作した人もいるでしょう。
『木版画』とは版画の技法に基づく分類ではなく、使用される版材による分類です。
版画は一般的に以下の4つの技法によって分類され、それぞれに適した版材が使用されます。
- 凸版画
- 凹版画
- 平面版画
- 孔版画
それぞれの技法について紹介します。
凸版画
代表的な版材:木版画、リノカット
特徴:残したい部分以外は彫刻刀などで彫るため、細い線や細かな凹凸を表現できる
描画したい部分を残して彫られた版の凸部分にインクを塗り、紙に写し取る技法のこと。
リノリウムを使用して制作されたものをリノカットといいます。
凹版画
代表的な版材:銅版画
凸版画とは反対に、絵が彫られた版の凹部分にインクを流し込み、高圧プレス機で紙に写し取る技法のこと。
凹版画で代表的な「銅版画」の中でも、いくつかのカテゴリーが存在します。
- ドライポイント・・・ニードルという鉄筆で銅板に直接絵を描く技法
特徴:ニードルによってめくれた部分にインクがたまることで線の周りににじみを表現できる
- メゾチント・・・ロッカーという道具を使って銅板全体に均等なまくれを作り、その上から削ることで絵を描く技法
特徴:深くも柔らかい黒を表現できる
- エッチング・・・「グランド液」と呼ばれる金属が腐食するのを防ぐ塗料を銅板に塗り、上からニードルで絵を描いてから酸で腐食する技法
特徴:版画の中でもっとも画家のデッサン力が試される技法。腐食時間や温度によってさまざまな線の濃淡が表現できる
- アクアチント・・・松ヤニの粉末を撒いた銅板を熱することでできた砂目状の銅板にグランド液を用いて絵を描く技法
特徴:松ヤニの粒子の大きさ、腐食時間によって仕上がりが異なる。水彩画のようなグラデーションが表現できる
平面版画
代表的な技法:リトグラフ、コロタイプ
特徴:画家が描いた線がそのまま版画になるため、描かれた雰囲気を忠実に表現できる
平版とは文字の通り、平らな版を用いた版画のことです。
版の素材は石灰石やアルミ板で、油性の画材で直接絵を描きます。
その上から「アラビアゴム液」と呼ばれる硝酸を塗ると油性部分は水をはじき、それ以外は水を吸収する化学反応が起きます。
さらに、その版にローラーで油性インクを塗ることで油性部分のみに色が付いたものを、紙に刷る技法のこと。
孔版画
代表的な技法:シルクスクリーン、ポショワール
版に開けられた穴によって下に置かれた紙にインクを刷るため、下絵が反転しない技法。
- シルクスクリーン・・・絹やナイロンを枠に張り、絵柄を版に焼き付けた網目からインクを落とすことで下の紙に刷る技法
特徴:絵の線がぼけることなくメリハリのある表現ができる
- ポショワール・・・昔から使われてきた版画技法のひとつで、薄い金属板や切り抜いた型紙を用いた技法
特徴:細かな表現は苦手ですが、シンプルな表現ができる
版画の種類や特徴を知ることでより楽しく鑑賞を
ここまで、版画の「本物」の定義や技法の種類について紹介しました。
実際に版画を鑑賞するとき、左下の余白にエディションナンバーは書いてあるか、どの技法が用いられているのかを意識するだけでも、より作品を楽しめます。
美術館に行った際はぜひ、版画の前で足を止めてじっくり鑑賞してみてください。
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