FAVORRIC編集者
2024-06-16
キュビズムとは?特徴や代表的な画家について解説します!
20世紀初頭に起こった芸術運動「キュビズム」には、美術史の中でも難解な作品が多いです。
たとえば、パブロ・ピカソが1909~1919年に制作した作品は、主にキュビズムに基づいて描かれたものですが、「よくわからない…」と感じる方も多いはず。
ここでは、キュビズムの特徴と代表的な2人の画家をご紹介します。
目次
- キュビズムとは
- キュビズムの特徴
- キュビズムの代表的な画家
- キュビズムはアートをより「自由」にした芸術運動
キュビズムとは
パブロ・ピカソ『マンドリンを弾く女性』
*出典: [Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/File:Pablo_Picasso,_1910-11,_Guitariste,_La_mandoliniste,_Woman_playing_guitar,_oil_on_canvas.jpg), Pablo Picasso, PD-US*
ジョルジュ・ブラック『果物皿とクラブのエース』
*出典: [Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/File:Georges_Braque,_1913,_Nature_morte_(Fruit_Dish,_Ace_of_Clubs),_oil,_gouache_and_charcoal_on_canvas,_81_x_60_cm_(31.8_x_23.6_in),_Mus%C3%A9e_National_d%27Art_Moderne,_Centre_Georges_Pompidou,_Paris.jpg), Georges Braque, PD-US*
キュビズムは、20世紀初頭のフランス・パリで生み出された芸術運動です。
キュビズムが誕生するまで、ヨーロッパではルネサンス期に成立した「遠近法」を使った絵画手法が主流でした。
遠近法で自然な奥行きを表現し、空間をリアルに描き出すのが、500年にわたって西洋絵画のセオリーだったのです。
1907年、パブロ・ピカソは『アヴィニョンの娘たち』を制作しました。
キュビズムのはじまりといわれるこの作品は、後期印象派の画家ポール・セザンヌの影響を受けて描かれたものです。
「近代絵画の父」とも呼ばれるセザンヌは、後期の静物画でモチーフを複数の視点から描き、緊張感のある構図を生み出しました。
セザンヌのこの手法を発展させて誕生したのがキュビズムです。
キュビズムでは、あらゆる角度から見た同一のモチーフを極端にシンプルな図形としてとらえ、1つのキャンバスに描きます。
簡単な例を挙げると、コップは正面から見れば長方形に、上から見れば円形に見えます。
1つの視点からでは同時に見えない長方形と円形を、同じキャンバス上に描くという革新的な手法がキュビズムです。
アンリ・マティス『緑の筋のあるマティス夫人の肖像』
*出典: [Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/File:Matisse_-_Green_Line.jpeg), Henri Matisse, PD-US*
キュビズムとフォービズムの違い
キュビズムとよく混同される「フォービズム(野獣派)」も、20世紀初頭にフランスで起こった芸術運動です。
原色を多用し、大胆で荒々しい筆致で力強い作品を生み出しました。
キュビズムとの違いは、色彩を使った感情・感覚の表現を重視する点です。
キュビズムはモチーフの「形」に焦点を当てた芸術運動でしたが、フォービズムは「色彩」に重きを置いていました。
鮮やかな色彩で、躍動感やあふれる生命力を表現しているのがフォービズムといえるでしょう。
フォービズムの代表的な画家は、アンリ・マティスやジョルジュ・ルオーなど。
そのうちの1人であるジョルジュ・ブラックは、ピカソとの出会いによって共にキュビズムを創出する画家となりました。
キュビズムの特徴
一目見ただけでは理解することが難しいキュビズムの作品。
実は、ヨーロッパ絵画の伝統を覆した革命的芸術運動なのです。
キュビズムの特徴を6つご紹介します。
形の分解と再構築
キュビズムの最大の特徴は、モチーフの「分解」と「再構築」です。
対象をあらゆる方向から見てキャンバスに再構築する手法は、それまでの西洋絵画の伝統を大きく覆しました。
19世紀までのヨーロッパで主流だった遠近法は、平面であるキャンバスに3次元空間をリアルに表現する手法でした。
ところが、キュビズムではモチーフを分解し、画家の考えのもと画面上で組み合わせます。
特に1909~1911年の「分析的キュビズム」の時期は、複雑に再構築された難解な作品が多く誕生しました。
「リアルな表現」を目指さない作品は、人々に大きな衝撃を与えました。
ジョルジュ・ブラック『レスタックの家』
*出典: [Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/File:Georges Braque, 1908, Maisons et arbre, oil on canvas, 40.5 x 32.5 cm, Lille Métropole Museum of Modern, Contemporary and Outsider Art.jpg), Georges Braque, PD-US*
平面性の強調
「キュビズム」という言葉は、英語の「CUBE(キューブ:立方体)」が由来です。
ジョルジュ・ブラックの作品『レスタックの家』が「小さな立方体」と評されたことから、キュビズムと呼ばれるようになりました。
立方体が表すように、キュビズムではモチーフをあらゆる視点から見たうえで幾何学的に変化させます。
シンプルな図形の組み合わせで描くため、立体感がなく平面性を強調した作品が多いです。
1912年以降の「総合的キュビズム」では、文字や新聞、楽譜やトランプのように本来平面のモチーフも増えていきました。
複数視点の統合
キュビズム誕生のきっかけとなったポール・セザンヌの静物画は、発表当初あまり評価されませんでした。
モチーフを複数の視点から眺めた絵画は、遠近法が主流だった当時いびつにさえ見えたのです。
キュビズムの画家たちはセザンヌの革新的な手法に大きな価値を見出し、発展させていきました。
あらゆる角度から眺めたモチーフをキャンバス上で統合し、それまでとは大きく異なる絵画を生み出しました。
キュビズムの視点は同一時刻にさえ留まりません。
視点の動きや時間経過による対象の変化もとらえ、1つの画面に統合して表現しました。
フアン・グリス『果物皿とマンドリンのある静物画』
*出典: [Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/File:Juan_Gris_003.jpg), Juan Gris, PD*
抽象化・単純化
キュビズムでは、モチーフを極端に単純化します。
ルネサンス以来の「細かくリアルな描写」という価値観が捨てられ、抽象的な作品が生まれました。
キュビズムが始まった20世紀初頭は、写真の技術が発展し大衆に広まった時期です。
これまで画家が大切にしてきた「リアルな描写」は、写真の登場によって必須ではなくなりました。
キュビズムの誕生には、このような時代背景も関係しています。
1919年以降キュビズムは下火になりますが、その後「抽象絵画」や現代アートが生まれるきっかけとなりました。
パブロ・ピカソ『Femme assise』
*出典: [Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/File:Pablo_Picasso,_1909,_Femme_assise_(Sitzende_Frau),_oil_on_canvas,_100_x_80_cm,_Staatliche_Museen_zu_Berlin,_Neue_Nationalgalerie.jpg), Pablo Picasso, PD-US*
控えめな色彩
1909~1911年の「分析的キュビズム」では、グレーや褐色、黒など控えめな色彩の作品が多く制作されました。
この時期は特に「モチーフの形・分解」に注目していたため、色彩・光を抑えて線と面による表現を強調していたのです。
1912年以降の「総合的キュビズム」では、鮮やかな色彩も増えていきます。
複雑に組み合わせられた画面もシンプルに、より平面的になっていきました。
コラージュの導入
コラージュは新聞・雑誌の切り抜きや包装紙、布や針金などを画面に貼り合わせる技法です。
現在、趣味として楽しむ人も多いコラージュは、キュビズムの活動の中でジョルジュ・ブラックが考案したものでした。
キュビズムの作品は、分解・再構築によって現実からはかけ離れたものになります。
ブラックは、1912年からの「総合的キュビズム」の中で新聞の切り抜きや壁紙、ロープなどをキャンバスに貼り付けるようになりました。
現実に存在している物体を作品に取り入れることで、「架け橋」のような役割を持たせようとしたと考えられています。
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キュビズムの代表的な画家
キュビズムは、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックの2人を中心に進んだ芸術運動です。
ピカソとブラックについて、詳しくご紹介します。
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Pablo_Picasso,_summer_1912.jpg), PD*
パブロ・ピカソ『アヴィニョンの娘たち』
*出典: [Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/File:Les_Demoiselles_d%27Avignon.jpg), Pablo Picasso, PD-US*
パブロ・ピカソ
「20世紀最大の画家」と評されるパブロ・ピカソ。
1881年にスペインで生まれたピカソは、14歳で画業を開始しました。
91年の生涯で制作した作品は、約14万7,800点にのぼるといわれています。
キュビズムの始まりとなった『アヴィニョンの娘たち』は、ピカソが26歳のときの作品。
直線的に描かれた5人の女性は、顔が正面を向いているのに鼻のみ横から見た図であったり、背中をこちらに向けているのに顔が正面から見えたりします。
キュビズムの「複数視点の統合」が現れている作品です。
ピカソは1916年頃にはキュビズムから離れますが、全く使わなくなったわけではありません。
例えば1937年の『泣く女』『ゲルニカ』には、複数の視点から見たモチーフを再構築するキュビズムの原理が見られます。
誰もが知るピカソの名画にも、キュビズムの考え方がいかされているのです。
ジョルジュ・ブラック『テーブルの上の静物』
*出典: [Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/File:Georges_Braque,_1913-14,_Still_Life_on_a_Table_(Duo_pour_Flute),_oil_on_canvas,_45.7_%C3%97_55.2_cm,_Lauder_Cubist_Collection,_Metropolitan_Museum_of_Art.jpg), Georges Braque, PD-US*
ジョルジュ・ブラック
ジョルジュ・ブラックは、1882年にフランスで生まれた画家です。
ピカソの『アヴィニョンの娘たち』を見て革新的な表現に驚き、共同でキュビズムを発展させていきました。
キュビズムでのブラックの作品は、静止しているモチーフを描いたものが多いです。
特に楽器を描くことが多く、『ギターを持つ女』『マンドリンとスコア』『楽器と新聞』などたくさんの作品があります。
ブラックは1914年に第一次世界大戦に出征し、1916年に制作を再開しました。
キュビズムから離れ、鮮やかな色とテクスチャを感じる表面を特徴とした独自の静物画を残しています。
キュビズムの特徴である幾何学的なデザインは、現代のインテリアやファッションにも多く影響を与えています。
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キュビズムはアートをより自由にした芸術運動
キュビズムの特徴と、代表的な画家であるピカソとブラックをご紹介しました。
500年にわたる西洋絵画の伝統を、10年足らずで覆したキュビズム。
キュビズムの登場によって芸術表現の幅が広がり、より自由になりました。
難解なキュビズムの作品も、特徴をふまえて鑑賞すると面白いはず。
作品を鑑賞する際には、ぜひ、今回紹介した特徴に注目してみてください。
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FAVORRIC編集者
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