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2024-06-13

静物画とは?主なモチーフや有名作品を紹介します


静物画とは

シンプルながら奥深さを楽しめる《静物画》
静物画は見たものをそのまま写実的に描くだけではありません。
構図や色彩など、画家の感性に基づいて自由に表現できる所が魅力です。

今回は静物画の特徴や主なモチーフの他、静物画の名画をご紹介します。
静物画の魅力を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  • 静物画とは?
  • 静物画に用いられる主なモチーフ
  • 有名な静物画
  • 静物画の魅力を知って世界観を楽しもう

静物画とは?

静物画とは

静物画とは、切り花や食材、書物など、動かないものを対象に描いた作品のことで、西洋画の一つのジャンルを指します。
人物画や風景画と異なり、描く対象物を画家が自由に配列し、画面構成できるのが特徴です。

静物画は英語で《Still Life/動かない命》、フランスでは《Nature Morte/死せる自然》と呼ばれ、国や地域によって静物画に対しての印象が違うことが分かります。

17世紀ごろのフランスやイタリアでは、躍動感のある人物画や宗教画に重点が置かれており、静物画の評価は高くありませんでした。
そのため《死せる自然》とやや見下した表現で呼ばれています。

静物画がひとつのジャンルとして確立したのは、オランダの画家たちの功績が影響したためです。
オランダでは宗教画の需要が低く、身近なモチーフを描いた静物画が広く普及したことが理由と言えます。
そのためオランダでは、静物画のことを死んでしまった自然ではなく、動きを止めた生命と解釈され、《Still Life/動かない命》という呼び方が定着しました。

また、静物画の地位を高い物にしたのは、19世紀の印象派画家であるポール・セザンヌの作品です。
これまで描くものの美しさが重視されてきた静物画でしたが、セザンヌは空間と構成物のバランスを追求。
斬新な考え方は、のちにフォービズムやキュビズムの画家に影響を与えたと言われています。

静物画に用いられる主なモチーフ

静物画のモチーフとは

静物画は身近なものを自由に描けるのが魅力です。
ここでは、静物画によく用いられるモチーフについて解説します。

花の静物画

静物画によく用いられている花のモチーフは、花そのものの美しさや、香りの表現の他、花の儚さを表しているものなどが多くあります。

花の静物画は17世紀のオランダを中心に発展しました。
中でも画家のラッヘル・ライスは、実物のように精密な花を描く画家として、オランダの黄金時代に活躍。
光の陰影や茎のうねりを優雅に表現した、動きのある描写が特徴です。

透けるような繊細な花弁まで見事に描きあげた作品は、みずみずしさと儚さを感じられます。

フルーツの静物画

フルーツ

フルーツは昔から静物画の定番として描かれており、絵画の永遠のテーマとなっています。

フルーツの静物画は、最も古い物で古代ギリシャ・ローマ時代の壁画に残されています。
収穫物の豊かさや歓びを意味し、主に富裕層の壁面装飾のために用いられていました。

フルーツはさまざまな画家が描き残しており、ポール・ゴーギャンやフィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・セザンヌなど、名の知れた画家の名作が数多く残っています。

肉・台所画

肉・魚

肉や魚など、さまざまな食材が台所に置かれた静物画は《台所画》と呼ばれています。
食材の他、調理器具などが描かれ、新鮮でフレッシュな描写が特徴です。

また、食事がテーブルに配置された静物画を《晩餐画》といいます。
食事を摂る人物は書かれず、料理の香りや食器の美しさを感じられるジャンルです。

グラスの静物画

ガラス製品

静物画では、花を生ける花器やワイングラス、水差しなど、静物画のさまざまなカテゴリーでガラス製品が描かれています。

ヘダ・ウィレム・クラースの《鍍金した酒杯のある静物》では、非常に緻密な写実的描写が特徴。
中でもガラス製品の表現が美しく、中に入った液体の透明感や、光の複雑な屈折など、静物画とは思えない真実性を表現しています。

書籍の絵画

一見簡単そうに思える本ですが、遠近法などが正確でないと、不自然に見えてしまうモチーフです。
紙の薄さやシワ、折り目、ページをめくった使用感などの表現が難しく、よく静物画として採用されています。

本をモチーフにした作品は、初期のマティスやゴッホなども描いていました。
積み重なった古書の風合いや開いた本の質感が、美しく表現されているのが特徴です。

ウサギイメージ画像

狩の獲物

狩猟でとらえた獲物を並べた静物画は《狩猟画》というジャンルに分類されます。
動物の羽毛や毛皮の柔らかさと対比して、くちばしやひづめの硬さの質感を表現するのがポイントです。

狩猟は貴族や富裕層のみに許されていたことから、狩猟画は貴族の間で好まれました。

貝の絵画

個人のコレクション

高価で貴重な個人のコレクションを静物画として描いたものは《コレクション画》と呼ばれています。
モチーフは貝殻や希少な花など、手に入りにくい貴重な物を中心に描かれました。

コレクション画は主に富を誇示するために描かれる他、手の届かない品々を絵画で手に入れたいという需要のもと、生まれたジャンルであると言われています。

ヴァニタスとは

ヴァニタス

ヴァニタスとは「虚栄・空虚・虚しさ」を表す静物画の一つのジャンルのことです。

現世の栄誉や財産、美などは儚く、「死」という絶対的なものの前では虚しい。というキリスト教の教訓が反映されています。
そのため、ヴェニタスの作品では、時間を表現する砂時計やろうそくの他、衰退を意味する熟れた果実、儚さを象徴する花などがよく描かれているのが特徴です。
またヴェニタスに欠かせない頭蓋骨は、確実に訪れる死を意味しています。

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有名な静物画

ひまわり

ここでは静物画を描いた有名な作品を3つご紹介します。

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ジャン・シメオン・シャルダン「赤エイ」

ジャン・シメオン・シャルダンは、18世紀に活躍した静物画の画家の中でも名の知れた人物です。
1728年に「赤エイ(The Ray)」が高い評価を受け、王立絵画彫刻アカデミーの正会員の地位を得たことをきっかけに、静物画の作品を主に描くようになりました。

「赤エイ」の絵画は、構図と対比の美しさが特徴です。
構図は三角形になるように物を配置。
中央のエイの頭部を頂点にした画面構成は、見る人を安心させるバランスになっています。

その他、中央のエイの左側には猫や魚などの「生き物」、右側には鍋や水差しなどの「物」が描かれ、左右で対比になるのもポイントです。
ひと目見た時に中央の赤エイに目線が行き、次に左側の猫、最後に右側の水差しへと、目線が自然に誘導される構図が作られています。

18世紀のフランスでは、ロココ調などの華やかな様式が一般的でしたが、シャルダンは日常を切り取ったような作風を描き続けました。
シャルダンの画面構成や光の陰影は、印象派の先駆けとなったと言われています。

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ポール・セザンヌ「リンゴの籠のある静物」

セザンヌの静物画の中でも有名なのが「リンゴの籠のある静物」という作品です。
「リンゴでパリを驚かせたい」と度々口にしていたセザンヌは、りんごの静物画を数多く残しています。

ポール・セザンヌが静物画のジャンルで地位を確立した理由は、多視点で物を描いているためです。

「リンゴの籠のある静物」では、一見テーブルを正面からとらえた構図と思われがちですが、よく見ると不自然な点が多々あります。
籠に入ったリンゴは、机を斜めに上から見たような視点で描かれ、中央には今にも倒れそうなワインボトルを配置。
さらにテーブルの稜線は、食い違っているように感じられます。

全体をよく見ると不安定で、遠近法を度外視した作画となっている所が特徴です。
セザンヌは1つの絵の中で、自身の見た視点を複数混ぜた構図を取り入れることで、独自の表現方法を確立していきました。

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フィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」

フィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」は、花の静物画の中でも代表的な作品です。

ゴッホのひまわりシリーズは、ゴーギャンとのアルルでの共同生活を待ち侘びながら、部屋に飾る装飾画として描いたのが始まり。
ひまわりがゴッホの作品の中でも明るい色調なのは、彼にとってひまわりが、画家同士の共同生活を通して互いの芸術を高めあうという彼の理想の生活の象徴であり、黄色は幸福の色だったからだと言われています。

ゴッホのひまわりは、ほぼ黄色のみで仕上げているのが最大の特長です。
黄色のひまわりと同系色の背景を使用しているにも関わらず、色の組み合わせが絶妙で、ひまわりが引き立っています。

ひまわりの存在感は、ゴッホの特徴的な描き方も影響しているポイントです。
大胆なタッチや厚い筆触で、立体感のある印象を与えています。

静物画の魅力を知って世界観を楽しもう

静物画は絵画の中でも奥の深いテーマです。
特に感覚的な要素が大きく、花は香りを感じ、果物は味や手触りを連想させます。
また配置や構図の自由度が高いため、画家の感性が大きく求められるでしょう。
ぜひ静物画の特徴を意識して、絵画を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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ウールラグ

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クッションカバー

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マルチクロス

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ビーズクッションtetra

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フラットサブバッグ

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アートブランケット

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ガーゼケット

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掛け布団カバー
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日傘(晴雨兼用)

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キッチンクロス

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ミトン&鍋敷き

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エプロン

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