FAVORRIC編集者
2024-07-14
クロード・モネとは?印象派を代表する「光の画家」の特徴や代表作を解説します!
明るい丘の上にたたずむ女性を描いた『散歩、日傘をさす女性』や、自宅の庭を描いた『睡蓮』シリーズ。
どちらもフランス印象派の画家、クロード・モネの作品です。
印象派の中心人物だったモネの作品は、伝統や古典を重んじるフランスの美術界に革新をもたらしました。
この記事では、モネの作品の特徴や代表作を解説します。
2024年秋からはじまる「モネ 睡蓮のとき」展もご紹介するので、ぜひご覧ください。
目次
- クロード・モネとは
- クロード・モネの特徴や画風
- クロード・モネの代表作
- 国立西洋美術館「モネ 睡蓮のとき」展
- クロード・モネは「目の前の美しさ」をそのまま描きとろうとした画家
クロード・モネとは
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Monet_by_Greiner_Amsterdam_1871.jpg), PD*
クロード・モネは、19世紀後半から20世紀前半にかけてフランスで活躍した画家です。
1840年にパリに生まれたモネは、フランス北西部ノルマンディー地方で育ちました。
10代から絵を学び始め、学生時代には既に似顔絵を売って小遣い稼ぎをしていたほどの腕前だったといいます。
1859年にパリに出たモネは、後にともに「印象派」と呼ばれるオーギュスト・ルノアール、カミーユ・ピサロらと出会います。
王家主催の展覧会「サロン・ド・パリ」への出展を目指して切磋琢磨していた彼らは、次第にサロンの古典的な芸術観に不満を覚えるようになりました。
1874年、モネはルノアール、ピサロらとともに、サロンへの出品が認められなかった作品を集めた展覧会を開催します。
後に「第1回印象派展」と呼ばれるこの展覧会の評判は、当初はひどいものでしたが、回数を重ねるにつれ評価を得ていきました。
1880年ごろまで貧しい生活が続いていたモネでしたが、個展の成功、画商との契約成立などもあり徐々に暮らし向きが安定していきました。
1983年にはフランス北西部のジヴェルニーに移り、自宅の周りや製作旅行で目にしたものなどを描くようになります。
なかでも、自宅の庭に作った睡蓮の池を描いた連作はモネの代名詞になりました。
1926年に亡くなるまで制作に打ち込んだ睡蓮の『大装飾画』は、現在フランスのオランジュリー美術館に展示されています。
キュビズムとは?特徴や代表的な画家について解説します!
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クロード・モネの特徴や画風
モネの画風は、19世紀後半のフランス絵画の王道とは異なるものでした。
どのような点が革新的だったのか、モネの特徴や画風とともに解説します。
クロード・モネ『アルジャントゥイユのレガッタ』』
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Claude_Monet_-_Regattas_at_Argenteuil_-_Google_Art_Project.jpg), Claude Monet, PD*
ピエール=オーギュスト・ルノワール『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Pierre-Auguste_Renoir,_Le_Moulin_de_la_Galette.jpg), Pierre-Auguste Renoir, PD*
印象派の中心的画家
モネが活躍した19世紀後半、フランス芸術の世界では、王立絵画彫刻アカデミーが教える伝統的な手法や美しさの基準(アカデミズム)が重視されていました。
絵画は主題によって価値づけされ、歴史画・宗教画が至高とされる一方、風景画は価値の低いものとされていまでした。
モネは1865年にサロンに初出展できたものの、アカデミズムの基準とそぐわなかったためその後何度も落選し続けました。
そこで、ルノワールらとともに、第1回印象派展を開催することになったのです。
モネ達は自分自身が体験した「印象」をそのまま観賞者に向けて伝えることに重きを置いていました。
その時々の感覚を大切にし、目の前の光や色をとらえて大胆な筆致で表現する画風が築かれました。
印象派は、旧来のアカデミズムから脱却し、美しさの基準を拡大してその後の芸術に大きな影響を与えました。
クロード・モネ『舟遊び』
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Claude_Monet_-_On_the_Boat_-_Google_Art_Project.jpg), Claude Monet, PD*
光と色の表現
印象派が重視するのは、光や色の表現です。
時間が経つにつれ移り変わる目の前の光や色を、素早くキャンバスに描いていきました。
ジヴェルニーに移り住んだ後、モネはいくつもの連作を製作しています。
同じ場所やモチーフを異なる季節・時間や角度から描くことで、光や色の表現を追求していきました。
光や色を通して、その場に吹く風や空気感、モネ自身の心象風景をも表現しようとしたのです。
筆触分割
光と色の表現を追求した印象派の画家たちは、絵具を混ぜずにそのままキャンバスにのせていく「筆触分割」という技法にたどり着きました。
筆触分割で描かれた絵画を遠目から見ると、色が混ざり合い複雑で豊かな色彩を織りなしていることに気が付きます。
色する前の絵具は、明るく澄んだ色をしています。
複数の色を混ぜればたくさんの色合いが作れますが、混色するほど色が濁っていきます。
モネの作品の多くが明るい柔らかな印象なのは、濁りのない色を並べるように描いているからです。
クロード・モネ『ルエルの眺め』
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Monet_Veduta_di_Rouelles.jpg),
Claude Monet, PD*
屋外制作(エア・プレイン・エア)
モネは、多くの作品を屋外で描きました。
多くの画家たちがアトリエにこもって制作していた当時、モネが屋外制作を好んだのは画家のウジェーヌ・ブーダンの影響です。
いち早く屋外制作に取り組んでいたブーダンは、モネに戸外に出て実際の景色を見ながら油絵を描くように勧めました。
ブーダンとともに屋外制作をはじめたモネは風景画に開眼し、地元の展覧会に『ルエルの眺め』を出品しています。
パリに出てからも、ルノアールらとともに屋外制作での表現を追求しました。
クロード・モネの代表作
モネは、2,000点以上もの油彩画を描いた多作な画家。
代表作を4作品ご紹介します。
*出典: [Wikipedia]https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Monet_-_Impression,_Sunrise.jpg), Claude Monet, PD*
印象、日の出
フランス北西部、ル・アーブルの港に朝日が昇る光景を描いた作品です。
立ち込める霧の中に、一艘の船のシルエットが浮かび上がっています。
アカデミズムの絵画では、水平線をキャンバスの中心線より下に描くのが一般的でした。
ところが『印象、日の出』では水平線を上の方に置き、朝日を反射して揺らめく海を大きく描いています。
大胆な筆致で描いた波模様が、反射光の輝きを際立たせています。
『印象、日の出』は、第1回印象派展に出展された作品です。
評論家のルイ・ルロワが、この展覧会を「印象主義の展覧会」と皮肉ったことから、印象派と呼ばれるようになりました。
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Claude_Monet_-_Woman_with_a_Parasol_-_Madame_Monet_and_Her_Son_-_Google_Art_Project.jpg), Claude Monet, PD*
散歩、日傘をさす女性
第2回印象派展に出展された作品です。
モネの最初の妻カミーユと、息子のジャンが草原を散歩する様子が描かれています。
モネは、カミーユの位置より少し下に立ち、仰ぎ見るように構図をつくりました。
逆光を受けて影となるため、カミーユの白いドレスは青紫色で描かれています。
観賞者とモネの視点が重なるため、よりリアルに感じられます。
1875年頃、モネは日傘を差した女性と子供を多く描きました。
屋外制作の強みが活かされた作品群です。
引用元:埼玉県立近代美術館 公式HP(https://pref.spec.ed.jp/momas/)
ジヴェルニーの積み藁、夕日
ジヴェルニーに転居し、同じモチーフを繰り返し描くようになったモネ。
積み藁をモチーフとする作品群は、モネが取り組んだ最初の連作だといわれています。
『ジヴェルニーの積み藁、夕日』は、連作の制作に先駆けて1888年頃に描かれた作品です。
赤く燃える夕焼けを背に、どっしりとした積み藁が影をつくっています。
以前の作品と比べると筆触分割による点が小さく、なめらかになっているのがわかります。
この作品を描いた2年後、モネは積み藁モチーフの連作を開始しました。
『睡蓮』(1905年)
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Claude_Monet_-_Nymph%C3%A9as_(1905).jpg), Claude Monet, PD*
『睡蓮』(1907年)
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Claude_Monet_-_Waterlilies_-_Google_Art_Project_(hgEnPzjBK2STHg).jpg), Claude Monet, PD*
睡蓮シリーズ
モネの代名詞ともいえる「睡蓮」シリーズは、200点以上にのぼる膨大な連作です。
ジヴェルニーの自宅の庭に睡蓮の池を造成したモネは、季節や天候、時間帯を変えながら繰り返し制作に取り組みました。
個々の作品は大小さまざまで、なかには円形のキャンバスに描かれたものもあります。
モネの「睡蓮の池」をデザインしたオリジナルグッズ発売中
公益財団法人 福武財団さまが運営される瀬戸内海の直島にある「地中美術館」が開館20周年を迎えるにあたり、クロード・モネの「睡蓮の池」をデザインしたオリジナル記念グッズの企画から製作をFAVORRICが担当しました。
詳しくはこちらオランジュリー美術館の『大装飾画』
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mus%C3%A9e_de_l%27Orangerie_February_28,_2009.jpg), CC BY-2.0*
特に大きいのは、最晩年まで描き続けた「大装飾画」です。
1つの部屋を『睡蓮』の巨大なキャンパスで埋める構想は、1800年代後半からモネが温めてきたものでした。
すべてつなげると91メートルにも及ぶ『大装飾画』は、現在パリのオランジュリー美術館に展示されています。
国立西洋美術館「モネ 睡蓮のとき」展
ジヴェルニーに移り住み、自宅の庭や周囲の光景を描き続けたモネ。
2024年10月、国立西洋美術館ではじまる「モネ 睡蓮のとき」展は、モネの晩年の作品にフォーカスした展覧会です。
展覧会のみどころをご紹介します。
マルモッタン・モネ美術館
*出典: [Wikipedia](https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mus%C3%A9e_Marmottan.JPG), CC BY-2.5*
みどころ
世界最大級のモネ・コレクションを所蔵する、フランス・パリのマルモッタン・モネ美術館。
同館が誇るモネ・コレクションから、日本初公開の7作品を含む約50点が来日します。
さらに、国内の美術館が収蔵しているモネの作品も集結。
今までに日本で開催されたモネの展覧会のなかでも、最高レベルの充実した展示となるでしょう。
モネが最晩年まで取り組んだ『睡蓮』シリーズからも、20点以上を展示。
オランジュリー美術館『大装飾画』の習作からは、構想変更によって実現しなかった幻の姿をうかがい知ることができます。
200㎝×200㎝の大きな作品も展示するため、ジヴェルニーの庭に立つような臨場感も味わえるはず。
2024年秋、ぜひ押さえておきたい展覧会です。
開催概要
会期:2024年10月5日(土)~2025年2月11日(火・祝)
会場:国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7-7)
公式HP:https://www.ntv.co.jp/monet2024/
アート×瀬戸内海の絶景!地中美術館の魅力を紹介します
香川県直島に位置する地中美術館は、自然とアートが調和する美術館です。安藤忠雄が設計し、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品を展示。地下に広がる独特の空間で、時間や季節によって異なる表情を楽しめます。瀬戸内海の絶景とともに、訪れるたびに新しい発見がある魅力的な美術館です。
クロード・モネは「目の前の美しさ」を
そのまま描きとろうとした画家
クロード・モネについて、特徴や画風、代表作を解説しました。
歴史画・宗教画を重んじ、美の基準が厳然と決められていたフランス芸術の世界に、モネは新しい風を吹き込みました。
モネが描きとった光と色を、ぜひ国立西洋美術館で目にしてみてください。
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アート
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